介護弁護士コラム

第1回介護弁護士コラム 介護施設が顧問弁護士を雇う理由 – 予防法務・事故対応

社会の高齢化は加速する一方で、超高齢化の波は留まる気配がありません。そんな中、少子化の影響も相まって、介護の現場における働き手は慢性的な人手不足となっており、入所者の誤嚥に起因する重大な事故が起こり、多額の損害賠償責任が認められた裁判も記憶に新しいかと思います。今回のコラムでは、介護施設が顧問弁護士を雇う理由について、予防法務・事故対応という観点から解説したいと思います。

介護施設が顧問弁護士を雇う理由

法的な責任問題に備えた予防法務

介護施設では、その施設の性質上、利用者の方に何らかの生活上のバリアがあるのが通常であり、日常的な生活を送る中でも、様々なリスクに晒されています。施設内を散歩するだけでも、転倒によるケガ・骨折のおそれがあり、日々の食事の際にも誤嚥・誤飲の危険性が常に付きまといます。

日々発生しうる危険・リスクに対して、現場においてリスク管理を行うことは当然ですが、さらに進んで、法的な責任問題等に発展した場合に備えて、法律的な見地から、どのような注意義務・安全配慮義務があり、どのような対策を施すべきかという、予防法務による備えが重要となります。

細心の注意を払い、日々献身的に介護を行っていたとしても、残念ながら、事故等が起こってしまうこともあります。そのようなケースで、施設や介護スタッフの方が常に責任を負うとなると酷な結果となりかねませんが、仮に、法律的見地から、果たすべき責任を果たしていたと認められれば、少なくとも施設やスタッフの方のダメージを最小限に抑えることができるからです。

施設利用者の安全を守ることは当然ですが、施設を安心して運営、介護スタッフの方が安心して自分の仕事に邁進できるよう、法的な見地からのリスク管理、予防体制づくりは、高齢化が進む現代社会では重要度がより増してきます。

介護施設の規模にもよりますが、特に小〜中規模の施設のおいて、内部に法務部門を設置し、法律的知見のある専門スタッフを抱え、法的観点からの予防体制を構築するというのは、コスト面からもあまり現実的ではありません。

顧問弁護士を法務部門のアウトソーシングとして活用することで、内部で専門部門を設置するよりも遥かに廉価に、法的観点からの予防体制を構築することが可能となります。

万が一への対応

介護施設や介護スタッフの方においては、細心の注意を払って日々利用者の方々と向き合っているはずではありますが、施設によっては24時間、日常生活の介助を行い続けている以上、100%全ての事故を回避するということはできません。

いざ事故・問題が発生した場合、利用者の方やご家族への謝罪や説明、事故発生の原因究明、防止策の策定など、対応しなけばならないことが山積みとなります。それらの対応には、法的な観点から検討すべき問題も含まれていることから、どうしても専門の弁護士に頼らざるを得ない場合があります。

しかも、事故が既に起こっている以上、対応が急務となっている状況という中で、一から専門の弁護士を探し出し、施設のことや事故の状況を初めて会う弁護士に伝えることからスタートするというのでは、対応が後手に周り、問題が深刻化するおそれがあります。

普段から、日常的に、顧問弁護士と相談しながら業務を行っていた場合には、専門の弁護士を一から探し出す必要もなく、施設や介護の状況をよく把握している顧問の弁護士に対応を依頼するので、施設の状況に即した適切な対応を迅速に行うことが可能になります。

おわりに

今回のコラムでは、介護施設が顧問弁護士を雇う理由について、予防法務・事故対応という観点から解説しましたが、いかがだったでしょうか。介護現場で発生しうる様々なリスクに対して、法的な観点から、予防体制を構築することの重要性や、万が一の事故に備えるという点で、顧問弁護士を雇う理由、重要性が伝わったのではないかと思います。

当事務所では、札幌を中心として、介護福祉業界に特化した顧問弁護士サービスを提供しています。利用しやすい安価なスタートアッププランもご用意しておりますので、これから法的観点からの予防体制を構築したいという方や、万が一に備えた相談先を確保しておきたいという方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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