介護弁護士コラム

第12回介護弁護士コラム 2025年問題が迫る介護現場-人手不足と法的リスクを顧問弁護士と乗り越える

2025年問題が迫る介護現場

2025年、団塊の世代が後期高齢者となる「2025年問題」が現実味を帯びる中、介護業界はかつてない規模でサービス需要の増加に直面しています。しかし、その一方で現場は深刻な人手不足に苦しんでおり、一人ひとりの従業員にかかる負担はますます大きくなっています。介護の現場では、一つの小さなミスが大きな事故につながることも少なくありません。転倒事故や誤嚥、認知症の利用者による行動トラブルなど、日常的な業務のなかで発生し得る問題は多岐にわたります。さらに、利用者や家族からの理不尽な要求や暴言、いわゆるカスタマーハラスメントは、従業員の心理的負担を大きくし、結果として離職の原因になることもあります。

こうした状況下で離職率が上昇すれば、現場の運営はますます厳しくなります。新しい人材を採用しても、十分な研修や引き継ぎを行う余裕がなければ、現場の負担は解消されません。事故やカスハラが続けば、従業員の士気は低下し、優秀な人材が定着しないという悪循環が生まれてしまいます。だからこそ、介護事業者にとって重要なのは、事故やトラブルを未然に防ぎ、従業員が安心して働ける環境を整えることです。

事故や問題が離職率に与える影響

介護現場で起こるトラブルには、多くの種類があります。転倒や誤嚥のような事故だけでなく、利用者やその家族からの理不尽な要求や暴言も現場の負担となります。こうした出来事は従業員の心理的負担を増大させ、離職の直接的な原因となります。

事故やトラブルが起きると、管理者は対応に追われ、日常業務が滞り、現場全体の効率が低下します。結果として、働き続けたいと思える環境が失われ、離職が増え、人手不足がさらに深刻化するという悪循環が生まれます。

社内コンプライアンスと労働環境の整備の重要性

このような状況を改善するためには、従業員が安心して働ける環境をつくることが不可欠です。その基盤となるのが、社内コンプライアンスと労働環境の整備です。

例えば、労働時間や休暇の管理を徹底することで過重労働を避け、従業員の健康を守ることができます。また、事故発生時の対応マニュアルや研修体制を整えることにより、従業員は自信を持って業務に臨むことができ、ストレスも軽減されます。

さらに、カスタマーハラスメントへの対応ルールを明確化することで、現場スタッフの心理的安全性を高め、離職率の低下に直結する環境が整います。これらの取り組みは単なる制度作りではなく、従業員が安心して働ける職場を構築するための重要な施策となるのです。

顧問弁護士によるガバナンス強化と人材確保

ここで注目したいのが、顧問弁護士の活用です。顧問弁護士は、現場の法的リスクを把握し、社内ルールや労務管理の改善を支援することで、介護事業者が安心して運営できる環境を整えます。例えば、就業規則や雇用契約書、事故対応マニュアルを法的観点からチェックし、リスクを未然に防ぐ体制を構築します。加えて、柔軟な勤務制度や研修制度の導入に関する助言も行い、従業員が安心して働ける環境を作ることができます。

その結果、優秀な人材の定着率向上につながります。万一トラブルが発生した場合も、事前に整備されたルールやマニュアルに基づき、迅速かつ適切な対応が可能です。これにより、現場スタッフの心理的負担は軽減され、業務に集中できる環境が保たれます。

顧問弁護士の役割は、単なるトラブル時の対応にとどまりません。法的な視点からのチェックや改善を通じて、ガバナンスを強化し、離職率低下や人材確保にも直結するのです。事故やトラブルへの備えと社内の仕組みづくりを同時に進めることで、介護現場の安定運営が可能になります。

人手不足時代を乗り越えるために

事故やトラブルを予防し、従業員が安心して働ける環境を整えることは、人材不足時代の介護現場にとって不可欠です。労働環境の改善は採用や定着率の向上に直結します。そして、顧問弁護士と連携することで、法的リスクの管理と現場のガバナンス強化を同時に実現できるのです。これにより、離職率の低下だけでなく、介護サービスの質を維持し、現場全体の安定運営にもつながります。

2025年問題を迎える介護業界では、現場のリアルな課題を理解し、法的整備を前提とした人材戦略を進めることが不可欠です。事故やカスハラへの備え、社内コンプライアンスの強化、そして顧問弁護士によるガバナンス強化は、現場を守るだけでなく人材を守り、介護サービスの質を維持するための戦略となります。法的視点を取り入れた人材確保策は、これからの介護事業者にとって避けて通れない道といえるでしょう。

当事務所では、札幌を中心として、介護福祉業界に特化した顧問弁護士サービスを提供しています。利用しやすい安価なスタートアッププランもご用意しておりますので、これから法的観点からの予防体制を構築したいという方や、万が一に備えた相談先を確保しておきたいという方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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