介護弁護士コラム

第9回介護弁護士コラム 介護事業の種類 – 居宅介護サービス編

介護保険法では、介護保険制度について様々な事項が定められており、介護事業者の許認可についても、同法で定められています。介護事業を行う場合には、介護保険法の定めに従い、事業形態ごとに必要とされる許認可を、都道府県知事または市町村長に対する申請によって受ける必要があります。介護保険法で定められている介護事業は多岐にわたりますが、今回のコラムでは、利用者が自宅で受ける介護サービスの種類をまとめてみたいと思います。

居宅介護支援

居宅介護支援とは、居宅サービス、地域密着型サービス、そのほか利用者が日常生活を送るために必要となる保健医療サービスまたは福祉サービスなどを適切に利用することができるよう、利用者の依頼を受けて、その心身の状況、おかれている環境、利用者本人や家族の希望などを考慮したうえで、利用するサービスの種類や内容、これを担当する者などを定めた計画を立案し、その計画に基づいてサービスが提供されるよう、事業者などと連絡・調整を行うサービスのことをいいます。

簡単に言うと、ケアマネージャーと呼ばれる専門家が、利用者の状況を踏まえて、介護サービスを利用するための計画=ケアプランを作成し、他の事業者との調整を行うサービスです。基本的に、自宅で受ける居宅介護サービスは、ケアプランがないと利用できないので、居宅介護を受ける方は、まずは居宅介護支援を受けるということになります。

訪問介護

最もメジャーな居宅介護サービスとして訪問介護があります。訪問介護は、介護福祉士や訪問介護員によって提供される入浴、排泄、食事等の介護、そのほかの日常生活を送るうえで必要となるサービスのことをいいます。ヘルパーさんが訪問して介護する、いわゆるホームヘルプのことです。

訪問入浴介護

訪問入浴介護とは、専門の事業者が、寝たきり等の理由で、自宅の浴槽では入浴するのが困難な在宅の要介護者に対して、浴槽を自宅に持ち込み入浴の介護を行うサービスです。

訪問看護

看護師、准看護師、保健師、理学療法士及び作業療法士が居宅を訪問して行う療養にかかわる世話、または必要な診療の補助を行うサービスをいいます。訪問看護の場合には、訪問介護とは異なり、医療行為を行うことが可能です。

訪問リハビリテーション

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職が、居宅を訪問して行われる、心身の機能の維持回復、日常生活の自立を助けることを目的とするサービスのことををいいます。 訪問看護も訪問リハビリテーションも、看護師や理学療法士のような専門職が必要とされることから、医療法人等が事業を運営するケースも少なくありません。

居宅療養管理指導

病院や診療所または薬局の医師、歯科医師、薬剤師などによって提供される、療養上の管理及び指導をするサービスをいいます。

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を、24時間安心して送ることができるよう、夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問するサービスのことをいいます。夜間対応型訪問介護には、「定期巡回」と「随時対応」の2種類のサービスがあります。

定期巡回は、夜間帯(18〜8時)に定期的な訪問を行い、排泄の介助や安否確認などのサービスを行います。随時対応は、ベッドから転落して自力で起き上がれない時や夜間に急に体調が悪くなった時などに、訪問介護員(ホームヘルパー)を呼んで介助を受けたり、救急車の手配などのサービスを行います。

福祉用具貸与・特定福祉用具販売

福祉用具貸与

福祉用具貸与とは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、指定を受けた事業者が、利用者の心身の状況、希望及びその生活環境等をふまえ、適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与するサービスです。

簡単に言うと、要介護認定等を受けた人が、介護保険を利用して、車椅子や歩行器などの福祉用具を安くレンタルできるサービスということです。

特定福祉用具販売

特定福祉用具販売とは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、福祉用具販売の指定を受けた事業者が、入浴や排泄に用いる、貸与になじまない福祉用具を販売するサービスです。

例えば、腰掛便座や入浴補助用具などの他人が使用したものを使うのに抵抗がありそうな福祉用具を、要介護認定等を受けた人が、介護保険を利用して、安く購入できるというサービスです。

おわりに

今回のコラムでは、介護保険法で定める介護事業について、利用者が自宅で受ける介護サービスの種類をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。いわゆるデイサービス等の通所介護も、自宅から通うため、広い意味では自宅で受ける介護サービスとも言えますが、それらのサービスは通所型の介護事業として、また別のコラムで解説したいと思います。介護事業には様々な事業形態がありますので、これから介護事業に参入する方や事業の幅を広げたい方の参考になればと思います。

当事務所では、札幌を中心として、介護福祉業界に特化した顧問弁護士サービスを提供しています。利用しやすい安価なスタートアッププランもご用意しておりますので、これから法的観点からの予防体制を構築したいという方や、万が一に備えた相談先を確保しておきたいという方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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